花粉症の処方薬/市販薬 アレグラのまとめ

眠気が少ないと言われる第二世代抗ヒスタミン薬の一つ。
花粉症対策薬の副作用として有名なものは「眠気」だが、アレグラに関しては眠気が
起きにくいと言われている。眠気に関する注意文言がない花粉症処方薬は、今のところ
アレグラとクラリチンの2つだけだ。

アレグラに関する主な情報

1日薬価:151.2円(1日2錠) 薬価サーチより(製造会社HPに薬価の記載なし)
一般名:フェキソフェナジン
製造メーカー:サノフィ・アベンティス

ネットで見る限り、アレグラに関する主な興味・トピックというのは以下に集約されそう。
・アレグラの処方薬と市販薬(アレグラFX)の成分や価格の比較(どちらが得なのか?)
・眠くならない花粉症対策薬のアレグラとクラリチンの比較
・アレグラFX同様、医療用から転じて花粉症市販薬として発売されたアレジオン20や
ストナリニZ、コンタック鼻炎Zとの比較

アレグラ(処方薬)とアレグラFX(市販薬)の成分、価格の比較

成分に関しては医療用のアレグラ60mgと市販薬のアレグラFXに関しては全くの同等で、
製造元もサノフィ(アレグラFXの販売は久光製薬)なので効能自体には差がない。
アレグラFXのHPより「医療用と同成分・同容量」

問題は価格で、単純計算すると市販薬のほうが薬価が安くなることが話題になっている。
医療用アレグラの1錠の薬価:75.6円 薬価サーチより
市販薬アレグラFXの1錠の薬価:67.3円 (久光製薬商品リリースより。28錠税抜1886円)
(参考)アレグラのジェネリック「フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg」の1錠の薬価:52.9円

このへんの市販薬と処方薬の価格比較に関しては下記のサイトが詳しい。

アレグラFを購入とアレグラ錠60mgを処方して貰うのはどの位違うかな?
薬剤師の方が市販薬を買った場合と処方箋をもらってアレグラを手に入れた場合の金額を
シミュレーションしている。市販薬アレグラFX28錠は1980円、医者でアレグラをもらう場合は、
医者代(初診料、診察料等で3割負担)約1000円+薬局代(調剤料等で3割負担)約1100円で
2100円くらいになるので市販薬を買ったほうが若干安いとの分析。

薬剤師kittenの雑記帳「アレグラFX新発売」
こちらも薬剤師の方のブログ。同じく2週間分(28錠)の購入であれば健康保険の3割負担を
考慮しても市販薬の方が安くなるとの結論。ただし、2週間以上の長期使用であれば3割負担
の効果で処方薬のほうが安くなるとのこと。ちなみにこのブログは他にも色々なことが書いて
あって面白い。抗ヒスタミン薬(花粉症対策薬)の進化の方向は効果はそんなに変わらないが、
眠気などの副作用を軽減する方向に動いていることとか。

薬剤師ブログ「アレグラFX 詳細」
処方薬のアレグラ、市販薬のアレグラFXの価格比較に加え、ジェネリック薬品の薬価に関しても
言及をしている。ジェネリック薬品にすれば処方薬のほうが安くなるが、病院の待ち時間を
考えるとアレグラFXを買ったほうがおすすめとのこと。

結論としては2週間分使うだけなら市販薬のアレグラFXを買ったほうが安く済んで、1ヶ月とか
それ以上の長期服用をするなら病院行って健康保険の3割負担を使ってアレグラを手に入れた
方が安くなるということのようだ。


眠くならない花粉症対策薬のアレグラとクラリチンの比較

一般的に眠気を催すことで有名な花粉症薬の中で、アレグラとクラリチンの2つに関しては、
添付文書の重要な基本的注意の箇所に「眠気を催す」等の記載がない。
・重要な基本的注意(独立行政法人医薬品医療機器総合機構より引用)
アレグラ
クラリチン
ザイザル(参考として)

また、臨床データ(人に薬を投与した実験データ)でも、ニセの薬(プラセボ)を投与したときと
比べて眠気が多く起きないことが確認されている。
アレグラの眠気に関する実験例
直接ばっちりの記載はないが、ワープロ入力試験と自動車運転能力の試験を行なって、
それぞれ能力の低下が起きていないことが確認されている。
クラリチンの眠気に関する実験例
こちらは「眠気及び運転・機械操作能力に対する影響」の項目で国内と海外の臨床例を
記載。パソコンでの数字入力作業、自動車運転能力の試験、空軍パイロット及び民間
航空会社パイロットを対象にしたフライトシミュレーション試験のいずれでも能力の低下が
起きていないことが確認されている。

ということで、眠くならない花粉症薬という点では、アレグラもクラリチンも同じくらい。
服用回数や薬価に関してどちらの薬が優れているのかは下記の通り。
・服用回数
アレグラ:1日2回
クラリチン:1日1回

・1日薬価
アレグラ:151.2円(1日2錠)
クラリチン:99.4円(1日1錠)
アレグラのジェネリック(フェキソフェナジン塩酸塩錠60mg):105.8円
クラリチンのジェネリック(ロラタジン錠10mg):66.1円

ということで、服用回数や薬の価格(1日薬価)の観点から考えるとクラリチンのほうが
優れていると言えそう。ただ、使用者からすれば、薬が若干安いかどうかよりも、
花粉症のつらい症状に対して効くかどうかのほうが重要なので、効果に関しては
どうなのかというところに関して、ネット上での主な評価を挙げてみる。
まとめると、医師、薬剤師問わず、人によってアレグラ派とクラリチン派に分かれているので、
もうこれは相性の問題なのではないかなという結論。

ヤフー知恵袋「クラリチンとアレグラについて」
アレグラとクラリチンどちらが効くかについて記載。回答者はクラリチンは飲んだことが
ないが、アレグラは効きが悪くて、クラリチンのほうが効きがよいと聞いているとのこと。

ヤフー知恵袋「花粉症で病院から処方される、アレグラって薬、効きます?」
アレグラが効かないという質問者に対して耳鼻科の開業医が回答。
「正直なところクラリチンとアレグラは効果に関しては最弱の薬です」とバッサリ。
両方共効かないが、交通関係の人にはどちらかを処方するしかないと言っている。

元MR、現在は開局薬剤師「花粉症の薬はどれがオトクか?」
薬剤師の方のブログで、主だった花粉症の薬の評価をしている。この人によると
アレグラよりもクラリチンの方が安い上に効くとのこと。

新宿駅前クリニック「眠くならない花粉症治療薬」
新宿駅前クリニックの花粉症治療薬の評価記事で、クラリチンよりもアレグラの方が
効くという評価。

おねぇ系薬剤師の独り言「花粉症時のお作法~お薬編~」
薬剤師の方の花粉症薬の比較記事。この人はザイザル推しだが、アレグラとクラリチン
に関して言うと、両方共他の花粉症薬よりも効果が弱いと言っている。

ヤフー知恵袋「花粉症の薬でアレグラとクラリチンはどちらが効き目が強いですか?」
薬剤師の方の回答によると、経験上1日2回のタイプの薬のほうが効果が高いということで
この人はアレグラ推し。

現役医師のお薬解説ブログ「抗アレルギー薬について」
現役医師によるクラリチン、アレグラ、ジルテックに関する解説・比較記事。
この人の評価ではクラリチン ≦ アレグラ < ジルテックの効果の順とのこと。

耳鼻科医の診療日記「第2世代抗ヒスタミン薬の比較」
耳鼻科医の方の第二世代の抗ヒスタミン薬の比較記事で、各花粉症薬の比較を表にして
うまくまとめている。この人の評価ではアレグラもクラリチンも効果に関してはあまり
変わらないという評価。


アレグラとクラリチンの比較に関する結論としては、
・眠気に関してはアレグラもクラリチンも同等レベルで起こりにくい(臨床データはクラリチンが
より充実)
・1日の服用回数はアレグラが2回、クラリチンが1回でクラリチンのほうが使いやすい
・1日の薬価はアレグラよりもクラリチンが安い(アレグラはかなり高い部類の薬のようだ)
・アレグラとクラリチンどちらが効くかに関しては専門家の間でも印象が二分しているので、
服用者との相性の問題のほうが大きいと思われる
といったところ


アレグラが効かない人向けのアレグラより強い薬について

どうもアレグラが効かないという人が相当数いるようで検索が多かったので、そうした人への
回答としてこの項目を追加。そもそも医療関係者の意見、各治験論文のエビデンス(証拠)
を比較しても一致しているのは、「アレグラは弱い薬」ということだ。ただし、上記クラリチンと
アレグラの比較の項目でも記載したとおり、 添付文書の重要な基本的注意の箇所に
「眠気を催す」等の記載がないのはアレグラとクラリチンの2つしかないので、交通業務従事者
にはこの2つの選択肢しかない。それ以外の人で多少眠くなってもよいという人には、
第二世代抗ヒスタミン薬の効果と眠気の比較をまとめたページを別途作ったので、そちらを
ご参照いただければと思う。
花粉症の薬、第二世代抗ヒスタミン薬の強さ・眠気比較まとめ
結論だけ記載しておくと、上記ポジショニングマップの通りなのだが、アレロック、ジルテック、
ザイザルが同カテゴリーの中では強い薬になる。処方薬の中ではジルテックの眠気を改善
したザイザルという薬が人気があるので、この薬が欲しい場合は、耳鼻科に行ったときに
「前にかかっていた医者でもらったザイザル?という薬を飲んでいたときには効いてました」
的な言い回しをしてもらうとよいんじゃないかな。市販薬ではザイザルもアレロックもないが、
ジルテックに関してはストナリニZとコンタック鼻炎Zという名前で発売されているので、
それを買えばよいと思う。どちらも成分、価格ともに同じなのでどちらを選んでも構わない。


花粉症OTC医薬品のアレグラFXとアレジオン20、ストナリニZ、コンタック鼻炎Zの比較

元々医療用の処方薬だった薬を市販薬に転換した、第1類医薬品の花粉症薬の比較。
まず、現在市販されている薬と医療用の薬の成分が同じなのか違うのかから。

アレグラFX(医療用:アレグラ錠60mg)
1錠あたりの有効成分はともにフェキソフェナジン塩酸塩60mgで同じ。
服用回数はともに1日2回で同じ。
1日薬価は市販薬アレグラFXが134.6円、処方薬アレグラ錠60mgが151.2円。

アレジオン20(医療用:アレジオン錠20)
1錠あたりの有効成分は市販薬のアレジオン20がエピナスチン塩酸塩20mg、処方薬の
アレジオン錠20がエピナスチン塩酸塩20mgなので市販薬の有効成分は処方薬と同量。
服用回数はともに1日1回で同じ。
1日薬価は市販薬アレジオン20が165円、処方薬アレジオン錠20が146円。

ストナリニZコンタック鼻炎Z(医療用:ジルテック錠10)
1錠あたりの有効成分はともにセチリジン塩酸塩10mgで同じ。
服用回数はともに1日1回で同じ。
1日薬価は市販薬ストナリニZ、コンタック鼻炎Zが179.1円、処方薬ジルテック錠10が109.9円。

ということで、アレグラFXとストナリニZ、コンタック鼻炎Z、アレジオン20いずれも医療用と
有効成分の量は同じ。

次に効果に関して。
複数の花粉症処方薬の効果を横断的にまとめた下記のサイトを参考にまとめると、
http://jibika.exblog.jp/19891084/
http://www.arerugi-ka-shinjyuku-ekimae-clinic.info/k-chiryouyaku.html
効果:ストナリニZ、コンタック鼻炎Z >> アレグラFX > アレジオン10
眠気:ストナリニZ、コンタック鼻炎Z >> アレジオン10 > アレグラFX
という感じ。1日薬価を元に市販薬の値段を比較すると、
値段:アレグラFX > アレジオン10 > ストナリニZ、コンタック鼻炎Z
ということで、結論としては
・眠くても高くてもいいからとにかく効果が一番いい物を頼む場合はストナリニZ、コンタック鼻炎Z
・眠くならなくて比較的安くて効果もそこそこあるのがいい場合はアレグラFX
となる。

アレジオン10に関してはアレグラFXが出た以上、積極的に選ぶ理由はないのではないか。
効果、眠気、値段すべての点でアレグラFXのほうが優れているので。1日1回の服用でよい
という部分も効果が24時間続かないという薬剤師の意見もある。
http://tukutteha-mitamonono.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/10-23fc.html

※本件、2015年12月よりアレジオン20という医療用と同用量のものが発売されているので、
アレグラよりも効果自体は高くなっているものと思われる。

アレグラに関するネットでの主な評判

他、ネットで調べていて役に立った記事をいろいろと紹介。

健康・病気・症状相談コーナー「アレグラが効かない vs. アレロック」
内科医のブログ記事。患者に投与した経験からアレグラ、アゼプチン、アレジオン、
アレロックの違いを簡単に解説。彼がよく使うのはアレグラとアレロックで、眠気が出ない
ことを重視するならアレグラ、眠気が出てもいいから効果を最重視するならアレロックとのこと。

ヤフー知恵袋「アレグラって効きますか?私は効かずに困っています。」
アレグラが効かないという人の質問と回答。回答で共通しているのはアレグラは眠くならない
というのと効果が強い方の薬ではないということ。個人的に興味深かったのは、
アレグラは耳鼻科、皮膚科以外のドクターで花粉症の患者がきたら、まずアレグラを処方する
ほどメジャーな薬であることや、特定の花粉症薬が効かなかった場合の上手な医者への
伝え方など。「アレロックを処方してください」みたいに直接言うのではなく、
「以前はアレロックでよく効いていたのですが、今はアレグラで少し効き目が弱いようです」
みたいな伝え方のほうが医者もカチンとこないとか。

薬剤師kittenの雑記帳「アレグラのジェネリックは?」
アレグラがスイッチOTC(つまり市販薬)になった事情を薬剤師の観点からいろいろと考察
している。近いうちにジェネリックが出るのでその前に市販薬を出して稼ぎたいという思惑
ではないかと。この記事で知ったが、花粉症対策の第1類医薬品は、先に挙げたものの
他に、「アレギサール鼻炎薬」というものがあるようだ。「ケミカルメディエーター遊離抑制作用」
とか書かれてもよくわからないが、つまりはかゆみの原因のヒスタミンなどの放出を抑える
のが「アレギサール鼻炎薬」で、受容(ヒスタミンを受け取る側の反応)を抑えるのがアレグラ
などの抗ヒスタミン薬ということのようだ。抗アレルギー剤の分類は下記が参考になる。
こどもと喘息「抗アレルギー剤の分類」