花粉症の処方薬/市販薬 ザジテンのまとめ

眠気が少ないと言われている第二世代抗ヒスタミン薬の一つではあるが、ザジテンに関しては、
眠気の多い薬であるというのが医療関係者などの共通見解のようだ。

ザジテンに関する主な情報

1日薬価:117.8円(1日2錠) 薬価サーチより
一般名:ケトチフェンフマル酸塩
製造メーカー:ノバルティスファーマ株式会社
ザジテンに関する一次情報 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構)

ネットでの主な話題としては、下記。
・ザジテンと眠気について
・第一世代抗ヒスタミン薬と第二世代抗ヒスタミン薬の定義の違いについて
・ザジテンの禁忌について
・ザジテンの市販薬について
・その他ザジテンに関する話題


ザジテンと眠気について

一般的には眠気の副作用が強いか弱いかで第一世代の抗ヒスタミン薬なのか、第二世代の
抗ヒスタミン薬なのかが分類されるという認識なのだが、このザジテンに関しては、第二世代に
分類されているにもかかわらず、眠気の副作用が強いというのが医療関係者の共通見解に
なっている。

All About「眠気の少ないアレルギー薬ってないの?」
小児科とアレルギーの専門医の方のアレルギー薬に関する解説記事。ザジテンは眠気の多い
薬と言われているとのこと。

OKWave「ザジテンALの副作用について」
質問者の眠くなるかとの質問に、眠いとの回答が多数寄せられている。

ヤフー知恵袋「ザジテンについて アレルギー症状がきついときといって頓服として」
アレルギーの薬としてザジテンを飲んだら、うつ病の睡眠薬よりも効いてよく眠れたという
質問者の話。睡眠薬よりも効く眠気の副作用って一体なんだろう・・

ザジテンFAQ「血液脳関門通過性は?」
ザジテン製造販売元のFAQ。ヒスタミンはくしゃみ鼻水などのアレルギー症状の原因となる他、
脳内の伝達物質としても作用している。抗ヒスタミン薬で眠くなるのは、脳にヒスタミンをブロック
する薬が届いてしまって、伝達物質としてのヒスタミンまで阻害してしまうため。脳に薬が届くか
どうかは、この血液脳関門を薬が通過するかどうかで決まる。上記リンク先の回答で、
「本剤は脳関門を通過するものと考えられます。」との記載があるので、結論としては製造販売
元も眠くなる薬だと言っていることになる。

おくすり110番「ザジテン」
眠くなるのになんで第二世代に分類されているのかが疑問であるが、このサイトの記載によると、
ヒスタミン受容体に対する選択性が高く、抗コリン作用などよけいな作用が減弱されているので、
第1世代に多い口の渇きや排尿障害な どの副作用が軽減されているとのこと。ただし、脳に入り
やすい点は第1世代と同様で、鎮静作用はかなり強いようだ。抗ヒスタミン薬はヒスタミンH1受容体
に先にくっついて、ヒスタミンがH1受容体にくっつけなくすればよいので、それ以外は余計な作用。
「選択性が高い」というのは、他の作用があまりないよ、効果が限定されているよという意味なので、
その点で第二世代に分類されたものと推察される。ただ、脳に移行するのはそれとは別の話なので、
眠くはなってしまうわけだ。

第一世代抗ヒスタミン薬と第二世代抗ヒスタミン薬の定義の違いについて

ザジテンは眠くなるにもかかわらず、第二世代に属しているようで、いまいちこの第一世代
と第二世代の区別を誰がどういう基準でいつ定義したのかがはっきりしていなかったため
調べてみた。英語のソースを含め、ネット上で調べた限りでは、誰がいつどういう基準で
定義したのかに関する記載がバラバラで、明確なソースがなさそう。
分かった範囲でまとめると、
・1937年にはじめて抗ヒスタミン薬が発見される
・第一世代抗ヒスタミン薬は特定の共通する分子構造を持っている
・第二世代抗ヒスタミン薬は特定の共通する分子構造持っていない
・第一世代抗ヒスタミン薬は脂溶性で、脳に薬剤が届くため眠くなりやすい
・第二世代抗ヒスタミン薬は眠くなりにくい
・人によっては第三世代抗ヒスタミン薬という分類を行なっている人がいる。この定義をして
いる人は、第二世代抗ヒスタミン薬から派生した薬をそう呼んでいる。具体的には、
・ザイザル(レボセチリジン):ジルテック(セチリジン)から有効成分の光学異性体のみを抽出
・アレグラ(フェキソフェナジン):トリルダン(テルフェナジン)の代謝物
・クラリネックス(デスロラタジン):クラリチン(ロラタジン)の代謝物
・カレバスチン:エバステル(エバスチン)の代謝物


医薬ジャーナル社「第2特集 抗ヒスタミン薬の小児神経系における影響」
抗ヒスタミン薬の歴史に関する言及があり。この文献によると、
・1937年にBovetとStaubにより初めての抗ヒスタミン薬が報告される
・1942年に初の抗ヒスタミン治療薬アンテガンを世に出す
・黒沢元博,茆原順一:H1 拮抗薬,アレルギーナビゲーターによると、欧米においてH1
レセプター拮抗薬の薬理作用に関するコンセンサスが作成され、それに基づいて、
1983年にケトチフェン(ザジテン)が、1986年にアゼラスチン(アゼプチン)が、1987年に
オキサトミド(セルテクト)が開発された

Southern Methodist University「antihistamines」 (英文)
テキサスにある南メソジスト大学の人が書いたと思われるパワーポイント。これによると
・1933年に最初の抗ヒスタミン薬ピペロキサンがJeffとDanielによって発見
・第一世代は2つの芳香環が炭素か窒素か酸素原子にくっついているなどの特徴的な
共通構造がある
・第二世代はこれといった共通構造がない
・より大きく、脂に溶けないので血液脳関門を通過しにくい

Hong Kong Polytechnic University「Are all Antihistamines the same ?」 (英文)
香港理工大学の薬学教授のパワーポイント。これによると、
・1937年に初の抗ヒスタミンが合成される
・1942年に抗ヒスタミン薬が治療薬として導入される
・1981年に第二世代抗ヒスタミン薬が導入される

ザジテンの禁忌について

添付文書「ザジテンの禁忌」
ザジテンは添付文書にてんかんの人が使うと痙攣が起きるという禁忌がある。理由に関しては
下記の通りで、ザジテンに関しては抑制系のヒスタミンの作用も阻害して痙攣が起きるとのこと。
ザジテンFAQ「「てんかん又はその既往歴のある患者」が禁忌の理由」



ザジテンの市販薬について

ノバルティスファーマ「ザジテン」
商品紹介ページ

ノバルティスファーマ「ザジテンの一般向けFAQ」
これによると医療用と同成分同用量とのこと。

服用薬に関しては
ザジテンAL鼻炎カプセル
パブロン鼻炎カプセルZ
コンタック600ファースト
の3つが出ていて、他点鼻薬や目薬が出ているようだ。いずれも有効成分の量は同じなので、
どれを選んでも変わらない。

その他ザジテンに関する話題

kenji145のひとり言日記「第二世代の花粉症薬「ザジテンAL鼻炎」と「パブロン鼻炎Z」の比較」
市販薬のザジテンとパブロンとストナリニの使用感の比較をしている。

ヤフー知恵袋「抗アレルギー点眼剤について。 花粉症で毎年「ザジテン」点眼薬が」
ザジテンの点眼薬に関する質問。なぜザジテン点眼薬は目に染みるのか、パタノールとの
違いは何なのかについてを質問している。

日本アルコン株式会社「ザジテン点眼液UD0.05%」
ザジテンの点眼薬は日本アルコン株式会社が販売している。UDはユニットドーズの略で
1回使いきりタイプのこと。

耳鼻免疫アレルギー「日本における第2世代抗ヒスタミン薬のエビデンス」
これによると最も多く比較の対照薬として用いられているのがザジテンとのこと。
確かに第二世代抗ヒスタミン薬のインタビューフォームを見ていても、効能を示すための比較薬剤
として、ザジテンが選ばれているケースが多かった印象。

耳鼻科医の診療日記「抗ヒスタミン薬の変遷」
第1世代抗ヒスタミン薬から第2世代抗ヒスタミン薬に移っていった薬の変遷、歴史に関して
記載がされていて興味深い。薬の詳細情報が記載されている添付文書やインタビューフォーム
などを見ても、なぜ眠気の強いザジテンがアレグラ、クラリチン、ザイザルなどと同世代として
扱われているのかイマイチ理解しがたいと思っていたのだが、この記事を見て経緯が見えてきた。
そもそも初期の第二世代抗ヒスタミン薬はザジテン、アゼプチン、セルテクトの3つが有名だった
とのこと。そして、現場での投与経験では眠気の副作用は添付文書に記載されている5%以下という値
よりもだいぶ高いという実感値らしい。で、トリルダンというアレグラの前身となる薬が出たが、これは
飲み合わせにより心臓への副作用が発生するため発売中止になり、現在主力の第二世代後期の
抗ヒスタミン薬が発売されるようになったとのこと。