花粉症の薬を病院で処方してもらうといくら掛かるのか計算してみる

花粉症の市販薬の値段に関しては、薬局で価格が表示されているのでわかりやすいのだが、
処方薬の値段に関しては、診察と薬代と保険の3割負担などがあり、イマイチわかりにくいという
問題がある。そこで、2014年(平成26年)に耳鼻科で診察を受け、薬を処方してもらった実際の事例
を元に処方薬の金額の計算方法を調べ、いろいろな花粉症の薬の金額を試算してみようと思う。

耳鼻科・薬局でもらった実際のレシートの内容

診察・処方の内容
・レシートは再診時のもので、病院では鼻に薬剤を数分間入れるネブライザー治療を受けた
・医者からはザイザル30日分、パタノール点眼液10mlの処方箋をもらい、薬局で薬の処方を受けた

耳鼻科の領収証(初診のときは初診料は270点だった)
初・再診料 70
投薬 68
処置 35
合計 173
負担金額 520円

薬局の領収証
調剤技術料 薬学管理料 薬剤料 医療材料 合計
調剤基本料 40 40
ザイザル錠5mg 1錠30日分 81 330 411
パタノール点眼液0.1% 10ml 10 193 203
薬剤服用歴管理指導料 41 41
合計 131 41 523 695
負担金額 2090円

上記が私が2014年の春に実際に取得した耳鼻科と薬局の領収証の明細である。
これを元に薬の料金の算出方法を把握することができれば、花粉症の処方薬を病院でもらった
場合、料金がいくら掛かるのか大体わかることになる。

処方薬がいくら掛かるのかの計算方法

調剤報酬に関しては定期的に変更がなされるため、定期的に確認が必要だが、最新のものは
日本薬剤師会のページの下記平成24年(2012年)4月1日改定の調剤報酬点数表を一次ソース
として確認するのがよいかと思う。
日本薬剤師会「調剤報酬点数表(平成24年4月1日施行)」(PDF)


まず、大前提として薬の料金の計算は1点=10円の点数方式で足しあわせていく。
そして調剤報酬点数は
1.調剤技術料
2.薬学管理料
3.薬剤料
4.特定保険医療材料料
の4つの合計で構成されている。これらを一つ一つ見ていけばよいことになる。

1.調剤技術料
これは調剤基本料、調剤料、各種加算の合計で構成されている。
調剤基本料は大病院の近くの薬局でなければ40点で計算すればOK。
調剤料に関しては内服薬は30日分で81点、14日分で63点で計算をする。
外用薬は処方日数関係なく1薬剤につき10点で計算をする。過去の私自身の処方実績だと
点眼薬のパタノール、点鼻薬のナゾネックスもこの10点で計算がされている。
頓服薬の調剤料は21点になる。経口ステロイド薬のセレスタミンがこれに該当する。

2.薬学管理料
これは41点で計算をすればOK。

3.薬剤料
これは薬の薬価により変わってくる。薬価サーチなどで処方されたい薬剤の薬価を確認すると良い。
薬価サーチ
計算の仕方になるが、薬価を1剤1日づつ点数に直した後、五捨五超入という計算方法で行い、
最後に服用日数を掛ける形で行う。とりあえずはザイザルを例にして説明をする。

ザイザルの薬価は2014年現在、1錠111.8円となっている。ザイザルは1日1錠の薬だから、
1日の点数に直すと10円で1点だから11.18点となる。ここで小数点以下を五捨五超入という方法で
計算することになるのだが、例えば11.50点なら11点に、11.51点なら12点にするという方法だ。
今回は11.50より小さいから切り捨てが適用され、ザイザルの1剤1日の点数は11点になる。
30日分処方された場合はこれに30をかけて330点と冒頭の領収証の値と一致する。

外用薬、頓服薬に関しては総量×薬価を五捨五超入で計算し、点数に直す。

主な内服薬の1剤1日あたりの点数を記載しておこう。
薬剤名 点数
ザイザル錠5mg 11点
クラリチン錠10mg 10点
アレグラ錠60mg 15点
アレジオン錠20 15点
ジルテック錠10 11点
エバステル錠10mg 11点
アレロック錠5 12点
タリオン錠10mg 11点
プランルカストカプセル112.5mg「トーワ」 15点

外用薬、頓服薬の点数は下記の通り。総量に関しては自身の処方実績(基本30日分)を元に記載。
需要が多いため、追記で点鼻薬のアラミストとエリザスも点数を計算したものを記載。
薬剤名 点数
セレスタミン配合錠10錠 11点
ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用5mg10g×2 378点
アラミスト点鼻液27.5μg56噴霧用3mg6g×2 399点
エリザス点鼻粉末200μg28噴霧用5.6mg×2 352点
パタノール点眼液0.1%10ml 193点

4.特定保険医療材料料
花粉症の薬の処方でこれに該当した経験はないので基本0で試算してよいかと。


これで計算に必要な要素は全て揃ったかと思う。点数を計算し、それに10を掛けたものが
合計金額になる。健康保険の負担金額は30%で1円単位は4円以下は切り捨て、5円以上は
10円に切り上げるので、それが我々の最終的な負担金額となる。


第二世代抗ヒスタミン薬を病院で処方された場合の金額の試算

ということで、初診・再診で第二世代抗ヒスタミン薬のみを処方された場合の金額を30日分の
ケースと14日分のケースで試算してみようと思う。

耳鼻科での負担金額
初診:1120円(初診料270点+投薬68点+処置35点=373点 合計金額3730円)
再診:520円(再診料70点+投薬68点+処置35点=173点 合計金額1730円)

薬局での負担金額(30日分)
ザイザル:1480円(調剤技術料121点+薬学管理料41点+薬剤料330点=492点 合計金額4920円)
クラリチン:1390円(調剤技術料121点+薬学管理料41点+薬剤料300点=462点 合計金額4620円)
アレグラ:1840円(調剤技術料121点+薬学管理料41点+薬剤料450点=612点 合計金額6120円)
アレジオン:1840円(調剤技術料121点+薬学管理料41点+薬剤料450点=612点 合計金額6120円)
ジルテック:1480円(調剤技術料121点+薬学管理料41点+薬剤料330点=492点 合計金額4920円)
エバステル:1480円(調剤技術料121点+薬学管理料41点+薬剤料330点=492点 合計金額4920円)
アレロック:1570円(調剤技術料121点+薬学管理料41点+薬剤料360点=522点 合計金額5220円)
タリオン:1480円(調剤技術料121点+薬学管理料41点+薬剤料330点=492点 合計金額4920円)

薬局での負担金額(14日分)
ザイザル:890円(調剤技術料103点+薬学管理料41点+薬剤料154点=298点 合計金額2980円)
クラリチン:850円(調剤技術料103点+薬学管理料41点+薬剤料140点=284点 合計金額2840円)
アレグラ:1060円(調剤技術料103点+薬学管理料41点+薬剤料210点=354点 合計金額3540円)
アレジオン:1060円(調剤技術料103点+薬学管理料41点+薬剤料210点=354点 合計金額3540円)
ジルテック:890円(調剤技術料103点+薬学管理料41点+薬剤料154点=298点 合計金額2980円)
エバステル:890円(調剤技術料103点+薬学管理料41点+薬剤料154点=298点 合計金額2980円)
アレロック:940円(調剤技術料103点+薬学管理料41点+薬剤料168点=312点 合計金額3120円)
タリオン:890円(調剤技術料103点+薬学管理料41点+薬剤料154点=298点 合計金額2980円)

ということで、医者の診察代と薬局での薬代の合計を結論としてまとめておこう。

              初診ショシン               再診サイシン

14日分ニチブン 30日分ニチブン 14日分ニチブン 30日分ニチブン
ザイザル 2,010 2,600 1,410 2,000
クラリチン 1,970 2,510 1,370 1,910
アレグラ 2,180 2,960 1,580 2,360
アレジオン 2,180 2,960 1,580 2,360
ジルテック 2,010 2,600 1,410 2,000
エバステル 2,010 2,600 1,410 2,000
アレロック 2,060 2,690 1,460 2,090
タリオン 2,010 2,600 1,410 2,000

実際には第二世代抗ヒスタミン薬以外の薬も処方されるだろうからこれよりちょっと高くなるはず。
具体的にはセレスタミン10錠で100円、目薬のパタノールなら610円、点鼻ステロイド薬の
ナゾネックス28日分なら1160円、アラミスト28日分なら1230円、エリザス28日分なら1090円、
プランルカストカプセル14日分なら820円、30日分なら1590円が上記の金額に加算される。

冒頭の私が医者からもらった領収証のケースは再診30日分のザイザル+パタノールの組み合わせで
2000円+610円=2610円と領収証の金額と一致するので、この計算が正しいことがわかるかと。


花粉症の薬、市販薬と処方薬の値段比較・・どちらが安いのか?

さて、もろもろの情報が揃ったところで最後に、市販薬と処方薬、どちらが安いのか比較をして
みることにしよう。現在、花粉症治療薬の中心となっている第二世代抗ヒスタミン薬の中で、
OTC薬として市販されているのは以下の4つである。

商品名ショウヒンメイ 価格カカク税抜ゼイヌ 容量ヨウリョウ 服用回数フクヨウカイスウ 1日薬価ニチヤッカ
エバステルAL 2000エン 12ジョウ 1ニチ1カイ 166.6エン
アレグラFX 1886エン 28ジョウ 1ニチ2カイ 134.7エン
アレジオン20 1980エン 12ジョウ 1ニチ1カイ 165エン
コンタック鼻炎Z、ストナリニZ 1791エン 10ジョウ 1ニチ1カイ 179.1エン

エバステルALは処方薬エバステル錠10mgの半分の有効成分になっているが、
アレジオン20と処方薬のアレジオン錠20、アレグラFXと処方薬アレグラ錠60mg、
コンタック鼻炎Z、ストナリニZと処方薬ジルテック錠10は有効成分の量が同じである。
上記の違いはあるものの、市販薬と処方薬で値段の比較を試みることにする。
なお、処方薬に関しては、薬局での負担金額の他に初診での耳鼻科負担金額も加えたもので行う。


14日分ニチブン 30日分ニチブン
薬剤名ヤクザイメイ 市販薬シハンヤク 処方薬ショホウヤク 市販薬シハンヤク 処方薬ショホウヤク
エバステル 2332エン+ゼイ 2010エン 4998エン+ゼイ 2600エン
アレグラ 1886エン+ゼイ 2180エン 4041エン+ゼイ 2960エン
アレジオン 2310エン+ゼイ 2180エン 4950エン+ゼイ 2960エン
ジルテック 2507エン+ゼイ 2010エン 5373エン+ゼイ 2600エン

結果上記のようになった。14日分では薬に占める診察料の割合が大きいため、処方薬と市販薬
とでは大きな値段の差は出ない。エバステル、アレジオン、ジルテックに関しては若干処方薬の
方が安いが、アレグラに関しては市販薬のほうが安いという試算結果が出た。

しかし、30日分での比較になると、いずれの薬剤でも処方薬のほうが圧倒的に安いという結果
になった。健康保険による3割負担の効果が大きく出たためだ。2014年現在ではザイザルも含め、
30日分の処方ができるようになっており、花粉症のシーズンが2月から4月末までということを
踏まえると30日の処方が一般的なので、基本的には市販薬を買うよりも、病院で処方薬を
貰ったほうが圧倒的に安上がりというのが試算を行った結果の結論になる。